
2025年8月22日(金)、ぎふしんフォーラム大ホールにおいて「被爆ピアノコンサート」を開催しました。このコンサートは、被爆・戦後80年の今年、全岐阜県生協連設立50周年記念事業として、多くの方に平和について考えていただくことを目的に開催したものです。岐阜県の後援を受け、生協の組合員さんや、一緒に平和活動を進める「岐阜県ピースアクション連絡会」「被爆者の願いを継承する岐阜県民の会」など関連団体の方、一般の方など約700名が参加されました。

被爆ピアノコンサートは、広島市在住のピアノ調律師 矢川光則さん(73歳)が、原爆で被爆したピアノを託されたことをきっかけに2005年から始められたものです。ご自身も被爆2世として、戦争の悲惨さ・平和の尊さを伝えていくことを使命に、今までに全国3,000回のコンサートを行ってこられました。被爆80年の今年は270会場ものハードスケジュールに取り組まれています。
被爆当時のままのピアノの音を聴き、平和の尊さを考えてほしい

司会はコープぎふの堀部智子さん、渡辺和歌さんにお願いし、全岐阜県生協連の根崎会長理事の開会挨拶に続き、矢川さんから被爆ピアノにについてお話しいただきました。今日運んでこられた「宇品ピアノ」の説明や、矢川さんが被爆ピアノを最初に託された当時のことなどが紹介されました。できるたけ当時のままのピアノの音色を聴いてほしいと願い、ピアノ線も217本のうち2本のみの張替えにとどめ、できうる限り交換ではなく修理し続けて使ってきたことなどのエピソードを教えていただきました。そして、「戦後80年の大きな節目に『被爆ピアノ』を通じて平和の尊さを考えるきっかけにしてほしい」と参加者に訴えられました。
被爆ピアノが一人ひとりの平和を願う心に語りかけてくれる気がしました。
演奏と歌唱は、名古屋市を拠点に活動するピアニストの佐藤奈菜さんと、シャンソン歌手の七瀬紫さんにお願いしました。第1部の冒頭では、佐藤さんから被爆ピアノへの思いや実際に弾いて感じていることなどが紹介され、続いてクラシックの名曲「ノクターン」や「亜麻色の髪の乙女」等が情感豊かに演奏されました。続いて、七瀬紫さんが平和への願いを込めて「ヒロシマ」「長崎の鐘」等が披露されました。演奏者や聴衆に語りかけるように響く佐藤さんのピアノの調べと、伸びやかで力強い七瀬さんの歌唱に観客席の全員が聴き入りました。

休憩をはさみ、第2部はコープぎふの「ピースアクションinヒロシマ・ナガサキ」参加報告として、職員の廣瀬吉彦さんと後藤美波さん、川瀬明美さんから、今月参加したピースアクションの報告があり、組合員の内藤さん、脇坂さん、柘植さんのご家族から感想が紹介されました。

続いて、再び佐藤奈菜さんと七瀬紫さんによる演奏と歌唱となり、幅広い世代で人気のジブリメドレーや、佐藤さんオリジナル曲の「ピュアラブ2」等の演奏に続き、七瀬さんから人気曲の「Jupiter」「瑠璃色の地球」等を歌っていただきました。そして最後には、「花は咲く」を会場全員で合唱して締めくくりました。


あっという間の感動の2時間で、会場が大きな拍手に包まれる中、ピースアクション報告者の3人の子どもさんから、矢川さん、佐藤さん、七瀬さんに感謝の花束が贈られました。
コンサートとあわせて、ロビーでは、広島の「被爆者が描いた絵碑」パネル展が開催され、11号碑設置への募金が集められましたし、生協の取り組み「子ども平和新聞」も掲示されました。休憩時間には、スクリーンで日本生協連「わたしたちの平和宣言」も上映し、全国の生協による平和活動の考え方も紹介されました。

また、「すべての国に核兵器禁止条約の批准を求める署名運動」や講演会「核兵器のない世界を築くために ~「核抑止」では平和は守れない~(10/11)」の紹介や呼びかけなど、平和のテーマの多くの取り組みを来場者に知っていただくことができました。

◆多くの方の感動と共感を生み、新たな行動のきっかけづくりになりました。

参加アンケートでは、演奏への感想として、「魂がこもっているようだった」
「まるで語りかけてくるようだった」といった感想が目立ちました。演奏の技術や表現力も高く評価され、特に「サトウキビ畑」「瑠璃色の地球」「ヒール・ザ・ワールド」などの楽曲で「涙を流した」という声もありました。被爆ピアノが奏でる音楽は、単なる演奏を超えて、戦争や幼少の頃の記憶や感情を呼び起こす力を持っているのだと感じました。

また、平和・戦争への思いとして、
「戦争を知らない世代だが、戦争は絶対にあってはならないと強く感じた」
「平和の尊さを改めて考えさせられた」といった感想が多く、音楽を通じて平和への意識が高まったと感じました。さらに、「自分にできることを考え、行動したい」といった感想もあり、行動へのきっかけにもなったと思います。親子で参加した方々からも、
「子どもと平和について話すきっかけになった」
「若い世代にも伝えたい」といった声が寄せられましたし、「子どもたちが感動していた」「家族で涙した」といったエピソードもあり、世代を超えた感情も共有されたようでした。

「音楽を通じて平和の尊さを伝えたい」という目的は、十分に達せられたと思います。5月の募集開始から予想を大きく超える応募があり、会場を変更するなど初めての企画で手探りの運営でしたが、全体として、感謝と感動に満ちた多くの声をいただくことができました。矢川さんや出演者の方をはじめとして、多くの方にサポートしていただき開催することができたことに改めて感謝いたします。
また、今年は「国際協同組合年」であり、県内の農協や諸団体でも広報に協力いただけました。すでに被爆ピアノコンサートに取り組まれている団体の方との新たなつながりもできるなど、得たものは多くあったと思います。この貴重な経験を、生協の活動としてこれからも引き継いでいければと思います。