活動の報告

ぎふグリーンツーリズムネットワーク大会 「伊自良大実柿」を見て・体験して・交流してきました。【22.11.19】

「柿BUSHI」 の軒先にも色鮮やかな伊自良大実柿のオレンジのカーテンがありました。

2022年11月16日(水)~17日(木)、「「ぎふの田舎へ行こう!」推進協議会」主催の「ぎふグリーンツーリズムネットワーク大会in山県市」が岐阜県山県市で開催されました。

●今年の大会テーマは、「地域の魅力を伝える! つながる!」 -持続可能な地域づくりのために農泊ができること-

新型コロナでこの2年間はオンライン開催や1日開催で対応してきましたが、今年は3年ぶりに1泊2日の定例パターンとし、感染対策に留意して開催されました。県内各地域からグリーンツーリズムに関わり活動されている団体や個人、そして行政(岐阜県・山県市)、観光協会関係者など約80人が参加しました。

(左)開会式の様子           (中)青木先生の基調講演      (右)パネルディスカッションの様子

●フィールドワーク「たびけん」から大会がスタートしました。

今回のスケジュールは、初日に「たびけん」(神崎コース、伊自良コース、葛原コース)として、旅するようにフィールドワークに参加し、旅人の感性で体験・交流を行い、その後の基調講演「グリーンツーリズムと地域の持続可能性」(講師:東洋大学 青木辰司名誉教授)で、持続可能な地域をつくるために私たちが大切にすべきこと、グリーンツーリズムができることを学びました。
2日目は、「たびけん交流会」として、初日の「たびけん」の感想や意見を交流し、最後は3つのコースで学んだことをパネルディスカッションで深めました。今回は、県連とコープぎふから参加した「伊自良コース」の「たびけん」をレポートします。

岩崎さんに先導してもらい佐野会長宅へ向かいます。伊自良大実柿があちらこちらに実っていました。

●伊自良の北部地域にしかない幻の柿「伊自良大実柿」。

たびけん「伊自良コース」は、「伊自良大実柿(いじらおおみがき)」を活かした地域活性化の取り組みを体感するというテーマです。案内人は、「柿BUSHI」代表の加藤慶さんと岩崎侑希さん。商品開発や「柿渋染め体験」などにより伊自良大実柿の魅力を発信している若い二人です。伊自良大実柿は良質の柿渋が採れることでも有名です。柿渋は半世紀前に一度途絶えてしまいましたが、地域の人や地域おこし協力隊の人たちの努力で復活しました。加藤さんたちは、その復活した柿渋をひろげる活動を通して地域を盛り上げるよう活動されています。

会長宅に到着。伊自良大実柿の栽培や連柿つくりにお話を聞きました。

まず最初に「連柿づくりを体感」ということで、伊自良大実連合会の佐野会長宅を訪問しお話を聞きました。大実柿のルーツは滋賀県の近江であること、伊自良地域の中でも北部地区でしか栽培していないこと、栽培~収穫~加工~出荷作業で一年間のサイクルが回っていること、連柿販売を行っている生産者は20軒弱で柿の木は約1000本のみ、生産量は全盛期の1/100と減っていることなどお話しいただきました。

佐野会長から、干し柿のサイズのこと、稲藁や専用カンナのお話を聞きました。

ちょうど連柿の乾燥期間中であり、軒先は干し柿のオレンジ色のカーテンができていました。
佐野会長より、大実柿の現物や皮むきの専用カンナ、連柿を吊るす稲縄(もち米)、燻蒸に使う硫黄など実物を見せて丁寧に説明していただきました。吊るしてある連柿の大きさは吊るした時期により4段階に分かれていること、柿を連ねる串は強い殺菌力のある竹を使うこと、乾燥は特に難しく、自然乾燥が最適(糖度66%になる)であり機械乾燥では甘味が全く違ってくること、薄く皮を剥くために最適な専用カンナは現存するだけしかない貴重なものであること、作業には熟練の技術が必要なこと、串は手で刺すのが最も仕上がりが良いということです。

皮むきや竹串刺しの体験。縄の編み方も実演していただきました。

また、乾燥期の雨や暖冬など天候が出来上がりを大きく左右すること、各農家ごとに日当たりや風向きが異なるので一軒一軒で独自の生産方法を工夫していること等も実演を交えて教えていただきました。お話を聞きながら佐野会長の伊自良大実柿づくりに対する情熱が伝わってきました。参加者も皮むきや串刺し作業を体験させていただき連柿づくりについて少し体感できました。

(左)柿畑を見学。加藤さんから説明を聞きます。(中・右)その後「 柿BUSHI 」に移動しました。

その後、柿畑を見学しました。 昭和の最盛期は200軒の農家が柿を栽培し、干し柿にしたり柿渋染めの染料としていましたが、その後生産者の高齢化などで生産や畑の管理ができなくなってしまいました。加藤さんたちは、「伊自良大実連合会」が農家から借りている柿畑を管理し収穫や出荷をしています。

「柿BUSHI」で、加藤さんから柿渋染めのレクチャーを受け染めてみました。

最後は、加藤さんたちが経営する「柿BUSHI」に移動して「柿渋染め」を体験させていただきました。「柿BUSHI」では、伊自良大実柿から絞り出された柿渋の原液を使い柿渋染め・体験をすることができます。近年の自然ブームにも後押しされ「柿渋」への関心は高まっているそうで、この日も実際に手拭いを柿渋で染める体験をさせていただいたり、貴重品である渋柿だけど甘い「熟し柿」も試食して満足度100%の体験となりました。

染め上がりの手拭いと、希少品の「熟し柿」。とっても美味しかったです。
二日目の「たびけん交流会」の模様

2日目の「たびけん交流会」では、伊自良大実柿の今後の方向性やブランド化をテーマに加藤さん、岩崎さんと参加者で交流しました。生産者の高齢化や後継者問題など課題はありながらも、大実柿は嗜好品としてさらにブランド化を追求したい、柿渋はファミリー層への浸透を目指し伊自良大実柿の魅力を発信する事業として成長させたいと加藤さんたちは思い描いているそうです。最後のパネルディスカッションで、加藤さんが「今回の交流で肩の荷が軽くなった気がした。農家ごとの独自性や違いを“個性”として活かせばよいのだと気づいた」と発言されたのが印象的でした。

(左)岩崎侑希さん  (右)加藤慶さん
ありがとうございました。

大会を終えて、岐阜市に隣接する山県市の中にこのような地域の資源(宝)があり、それを地域の活性化のために生かそうと努力している若い人たちがいることに感銘を受けましたし、消費者(生協の組合員)に情報発信したりつながりをつくるお手伝いが生協でもできるのではないかと感じました。貴重な体験をありがとうございました。



※主催の「ぎふの田舎へいこう!」推進協議会は、岐阜県内のグリーン・ツーリズムの実践者が中心となって、近年のグリーン・ツーリズムに対する多様なニーズに対応した「ぎふらしい」「ぎふならでは」のグリーン・ツーリズムを実現するため設立された協議会です。岐阜県生協連も推進協議会の幹事会のメンバーとして、都市農村交流にかかる事業の企画運営や情報発信、人材の育成や受入など、協議会の皆さんの活動をサポートしています。この大会の企画検討や準備にも参加しました。