活動の報告

【18.09.10】理事会研修「静岡の防災の取り組みを学んできました」

 
9月6日~7日(木・金)、今年度の拡大理事会研修で静岡に行ってきました。
今回のテーマは、「静岡県の生協の防災について学ぶ」です。参加者は10名。主な行程は、
?静岡県地震防災センターの見学
?静岡の生協の防災の取り組みの学習
?浜岡原子力館の見学
JR名古屋駅からひかり号でJR静岡駅に到着。静岡県連の山田事務局長にお迎えいただき、昼食を済ませさっそく研修スタートです。

静岡県地震防災センター(静岡市葵区)

 
平成元年に開設した静岡県の施設です。東海地震など大規模地震の被害想定や津波、震動、液状化の発生原理を実験装置を使って学ぶことができる施設です。
最初に玄関の静岡県全体図で災害リスクを押さえた後で、静岡県の防災計画の説明、地震体験(震度7!)、家庭や地域の防災対策のDVD鑑賞、東日本大震災時の宮古市の津波発生の映像などの学習や体験ができました。

 

 
静岡県は、活断層や富士山・活火山など様々な大規模自然災害リスクに直面する県であり、まさに“災害のデパート”。県や市町村の防災対策から各家庭や地域での防災・減災の取り組みを進めていることがわかりました。そして、岐阜県の私たちにとっても、南海トラフ巨大地震の発生は切迫しており、「自分でできることからまず実行すること」「その次は外に出てみて地域での防災・減災力を高めること」など、さらに大規模災害に備えていくことが大事だと感じました。

ユーコープのBCPの学習

 
続いて、ユーコープしずおか県本部に移動して、静岡県連の宮?専務理事(ユーコープしずおか県本部長)から生協のBCPの取り組みについて教えていただきました。

 
「地震発生直後の初動対応」と「仮復旧対応」のステージ別に、行動基準の優先順位として、
?自分自身と家族の安全確保 ?人命救助と救出活動への協力 ?社会的使命として、店舗・宅配の速やかな事業再開、を掲げられています。
職員の安否確認や地域の状況確認を重視されており、インターネット(Wifiが有効と熊本から学んだ)、ラジオ、テレビ、行政、MCA無線、携帯電話、衛生無線、IP無線、電子メール、SNSなど、多種多様な方法で取り組まれていました。宅配のトラックへの救命胴衣の常備、本部職員全員が安否確認用の業務用携帯を持つ、福祉事業分野の安否確認応答率が当初の20%台からほぼ100%になったこと、ユーコープ専務理事(災害対策本部長)は徒歩で本部出勤できる態勢をとっていることなど組織としての徹底度合いの高さを感じました。
業務中の災害発生時のマニュアルとして、停電でオフラインになっても電卓計算して供給する、お金を持っていない場合は代金後払いを確認することなど、人命救助の視点を意識したBCPの考え方も印象的でした。また静岡県と同じように職員の家庭での防災対策が重視されていました。
初めての訪問でしたが、生協のBCP計画・マニュアルや防災用品・備蓄品など貴重なものを開示していただけたことに心から感謝いたします。ありがとうございました。

 

 
夜は稲垣会長をはじめとして静岡県生協連の皆さんと楽しく懇親交流会。新鮮な海の幸と静岡茶入りの焼酎、すべておいしかったです。楽しい場と時間をありがとうございました。

浜岡原子力館(御前崎市)

 
2日目は、浜岡原子力館の見学。浜岡原子力発電所の敷地内にある中部電力が運営するPR館です。入館料無料で、原子力だけでなくエネルギーを中心に科学全般について学ぶことができる施設です。

 
実物大の原子炉模型や燃料模型の展示、原子力発電のしくみや原子力発電の安全対策などがわかりやすく説明されていました。9月6日に発生した北海道胆振東部地震で北海道全戸停電が起きた理由や電力インフラの脆弱性の課題なども聞け、国から地域・個人まで幅広く平常時の備えを強めることが大事だと実感しました。

 
浜岡原発は2011年3月から7年間稼働停止中ですが、現在も3,800人の従業員・委託先の方が1・2号機の廃止処置や燃料の冷却業務等を行っているそうです。
浜岡原発は、まだ3~5号機の再稼働は決定していませんが、国が想定する津波の規模や福島第1原発の事故を教訓にして、海抜22mの防波壁や、地震や津波に対する冷却水やバックアップ電源の確保対策(これが重要!)など再稼働に向けた様々な対策を知ることができました。

 
掛川駅に向かう途中で、昼食と買い物を兼ねて「御前崎なぶら市場」に立ち寄り、新鮮な海の幸をお腹とお土産袋に詰め、予定外の浜岡砂丘にも立ち寄っていただき、無事に岐路につきました。

研修を終えて

今回の研修は貴重な学びの機会となりました。お世話になった静岡県生協連の皆様、およびユーコープの皆様に心から感謝いたします。本当にありがとうございました。
私たち岐阜県生協連は第3次中期計画の最重点課題に「防災」を掲げ、各会員生協の防災への備えを強化しBCPの実効性を高めることを目指しています。
岐阜県においては、南海トラフ巨大地震の脅威はもちろん、今年の夏は、西日本豪雨災害、大阪北部地震、連続した台風被害、北海道胆振東部地震など大規模災害が頻発しています。自然災害はもはや身近な脅威です。そして大事なのは平常時からの備えと訓練です。今回の学びを活かし、ぜひ各生協や県連の防災活動に取り組んでいきたいと思います。