活動の報告

「核兵器のない世界を!」学習会を開催しました【23.1.24】

三重県生協連茂木会長の開会挨拶で始まりました。(岐阜会場の様子)

2023年1月21日(土)、岐阜県生協連と三重県生協連の共同開催による「核兵器のない世界を! ~核兵器禁止条約締約国会議とNPT再検討会議の成果と課題を学ぶ」を開催しました。長崎市(長崎大学)、岐阜市(ぎふメディアコスモスかんがえるスタジオ)、津市(アスト津会議室1)をオンラインでつなぎ、ハイブリッド形式で運営しました。あわせて68名の方が参加しました。(岐阜会場18名、三重会場15名、オンラン35名)

●核兵器をめぐる世界の情勢と、昨年の2つの大きな国連会議の成果と課題について学びました。

三重会場の様子

2022年は、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、「核兵器の廃絶」と「核軍縮」の今後に向けた重要な場として、核兵器禁止条約第1回締約国会議(6月/ウィーン)とNPT再検討会議(8月/ニューヨーク)が開催されました。核兵器禁止条約第1回締約国会議では、この条約を実現していくための「ウィーン宣言」と「ウィーン行動計画」が採択されました。しかし、NPT再検討会議は、最終文書が採択されず、今後に向けての課題を残す結果となりました。
この日の学習会は、この2つの会議の成果と課題を専門家から学び、核兵器の廃絶に向けた「これからの平和活動」を考える機会とすることを目的に開催しました。

●現実を直視し「私たち市民社会ができることは?」の視点で考え行動することの重要性。

中村先生の講演の様子

三重県生協連の茂木会長理事の開会挨拶に続き、長崎大学核兵器廃絶研究センター准教授の中村桂子氏より、「核兵器禁止条約締約国会議とNPT再検討会議の成果と
課題」の演題でオンラインで講演をいただきました。(以下、講演の項目)

1.核兵器をめぐる世界の状況は? ⇒今、『二つの論調』が進んでいる。
2.核弾頭数は表面上は減少しているが実際は冷戦時思考と同様である。
3.核兵器禁止条約をめぐる動きは? ⇒「核保有国が参加しない条約は意味がない」は半分的外れ。核禁条約は内容も策定経過も全く新しいもの。
4.NPT再検討会議の成果と課題は? ⇒過去の「採択ならず」とは様相が異なる。ただし懸念も残る。
5.私たちの課題は? ⇒ 「ロシアがけしからん」で話を止めず、市民社会の課題の視点で現実を見ていくことが必要。

核兵器をめぐる最新の情勢(世界の核弾頭数の推移)や、昨年の2つの会議の成果について、新聞やテレビの報道だけでは知りえなかった情報も含めて話していただきました。改めて私たちに必要なことをすっきりと整理して提示していただけました。
「核の傘」が無くなることへの不安や諦めの声はよく聞かれますが、このような声が出ている今は「むしろ学びのチャンス」であると言われたのが印象的でした。

●ウィーンとニューヨークからの確信「今世界は核兵器のない世界に向かって進んでいる」

続いて、岐阜会場から日本被団協事務局長の木戸季市さんに、「核兵器禁止条約第1回締約国会議と第10回NPT再検討会議に参加して」のテーマで報告をお聞きしました。(以下、報告の項目)

木戸事務局長の報告の様子

1.1945年8月9日と10日の体験
2.私は4度被爆者になった。
  ①1945年、②1952年、③1991年、④現在
3.世界は核兵器の廃絶に向かっている
  ①2016年「ヒバクシャ国際署名」運動
  ②2017年核兵器禁止条約採択
4.核兵器禁止条約締約国会議とNPT再検討会議に参加して
①締約国会議・原爆の反人間性と戦争犠牲受忍論
②NPT再検討会議・国連原爆展の開催と証言活動
③主催者の肉体的精神的タフさ、若者の参加などに感動
④すべての核被害者に援護を
⑤核兵器のない世界を

岐阜会場の様子

ご自身の長崎での被爆体験を地図や絵・写真を交えて話していただき、被爆者運動を起こし推進してきた経過や思い、昨年の2つの国連会議に被団協代表として参加した感想などを報告していただきました。核兵器の反人間性や戦争犠牲受忍論について理解を深めることができました。そして、木戸さんが、「被爆者として生きることの意味や、自分がなすべきことを考え行動することを最大のテーマにしながら人生を送ってきた」との言葉が心に残りました。



岐阜県生協連大坪会長の閉会挨拶

質疑応答では、韓国で高まる核保有論について質問があり中村先生から回答していただきました。最後に、全岐阜県生協連の大坪会長理事より閉会挨拶があり、この日の学習会を終了しました。

参加アンケートでは、
・核兵器をもたない国々が大きな力を結集して平和の論理を訴求していこうとしているところに感銘を受けました。わたし自身はいきづまった気持ちでしたがこの動きに大いに励まされました。
・抑止力は核でなく外交で、、、9条の貴重さを広く伝えたい。
9条は日本のみならず世界の宝であることを世界に示し、唯一被爆国である日本が核廃絶の先頭に立って外交努力することです。
・体験を伴うお話というのは刺さり方が違うなと感じます。こんなことはもう起こってはいけない、核兵器は人間と共存できない、亡くなった被害者にはみんな名前があった、…当たり前かもしれないひとことひとことが本当にそうだなと心に沁みました。
など、これからの取り組みにつながる感想が多く寄せられました。

核兵器禁止条約発効2周年の記念企画として、喫緊の問題であるウクライナ情勢も通して平和の大切さを学び考える貴重な場を持つことができました。岐阜県内だけでなく全国から参加いただいた皆さま、今回の学習会を提案していただいた三重県生協連の皆さま、企画や運営にご支援、ご協力いただいた皆さまに心から感謝いたします。